第3回「CHAPTER2:議会」

 ■事前準備

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  • 前回の宿題の内容を冒頭で確認します

■レジュメ

1.地方議会・地方議員に関する制度

○地方議会の権限
・首長に比べると地方議会の権限は限定的(限定列挙)
・議決権
→議案・予算案について、原案可決、修正可決、否決が可能
・再議請求権への抵抗
→首長の再議に対して特別多数決
・予算案の大幅な修正はできない
→首長の予算提案権を侵害するため
→結果的に、首長にいかに要望を「飲ませるか」という戦略が重要
・不信任決議権
→決議が成立すると、首長は自身が失職するか、議会を解散するかを選択する
・百条調査権
→首長が責任者として行う自治体の事務について問題がある場合に調査権を行使する
・議案提出権

○地方議会の運営
・本会議、委員会、全員協議会
→本会議:定例会、臨時会。通年会期制も可能
→委員会:議会運営委員会、常任委員会、特別委員会
・会派
→政党単位で結成されるが、必ずしも国政と対応していない

2.地方議員の実像

○日常活動
・議会が閉じているときにも活動を行う必要がある(次の選挙で勝つため)

○地方議員の社会的背景
・専業が大半
・性別や業種(兼業の場合)に偏りがある

○地方議員の党派性
・都道府県議会と市区町村議会で大きく異なる
→都道府県議会にとっては政党が投票にとって重要だが、市区町村では個人が投票の基準になっている

○議員報酬・待遇
・自治体の規模によって大きな差がある
・政務活動費
→政策立案に向けて行う調査・研究の費用として支給
→自治体の規模によって差が大きい
→近年では不正が見られる分野(2014年兵庫県議会、2016年富山県・富山市議会
ex.チューリップテレビ制作(2020)『はりぼて

3.二元代表性の特徴

○二元代表制
・首長と議会、それぞれ別個に投票されて選出される
→GHQによって戦後、首長公選が命令されたことによって始まった
・アメリカの大統領制との比較
→よく似ているが、アメリカ大統領に比べると首長の方が制度的な権限が多い
→また、アメリカ大統領のように再選の制限がない
→議会に対する権力にも差がある(再議請求権、解散権など)
・地方分権改革以降、首長の権限がさらに強くなっている
→有権者の指示を背景に地域政党を立ち上げ、議会と対立する首長も登場している

○首長と議会の影響力の比較
◇論点
・首長と議会のいずれがより影響力を有しているか
・どのような条件で各アクターが影響力を行使しているか

○首長と議会の協調・対立のパターン
・オール与党、相乗り市長のパターン
→首長と議会が協調関係にある
→特定の会派や政党が、首長を支えることで安定的な議会運営や選挙協力がなされる
・議会において首長派と非首長派が拮抗するパターン
→拮抗する場合、議案ごとに多数派を形成したり、反対議員に譲歩する場合がありうる
→札幌市
・首長を支持しない議員が大半のパターン(分割政府
→2000年代の長野県(田中康夫知事
→この場合、議会運営や選挙が難しくなるため、議会の構成を変える戦略を取る首長が登場する(大阪府・市の大阪維新の会、名古屋市の減税日本

◆補遺(辻陽2019aより)
  1. 二元代表制・大統領制・議院内閣制
  2. 偏る議院のなり手
  3. 統一政府と分割政府
  4. 近年の地方議会改革

■参考文献

  1. 辻陽(2019a)『日本の地方議会――都市のジレンマ、消滅危機の町村』中公新書
  2. 辻陽(2019b)「『大阪維新の会』と議会運営――分割政府の観点から」『近畿大学法学』第66巻第3・4号

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