投稿

12月, 2021の投稿を表示しています

第9回「CHAPTER8:地方税財政と予算」

  ■事前準備 テキストの該当ページを読んでおいてください ■レジュメ 1.国際比較から見た日本の地方税財政 〇「脆弱な地方自治」という神話 ・地方政府の支出の大きさ →国際比較(図8-1)を参照 →中央政府からの税転財源により、地方政府が事務を行うのが日本のやり方 =「日本の地方政府は、政策実施を通じて公共セクター全体のあり方を左右している」 Cf. 子育て世帯に対する10万円給付(神戸市)  ・「 今後、10万円一括給付に必要な補正予算成立に向け、議会と調整いたします」が重要 →財源は中央政府だが、事務は地方政府という構図の典型 →事務の実施は地方政府が行うため、地方政府における議会での調整が必要になる ・日本の公共セクターは、中央政府だけでは全体像を理解できない 〇マーブルケーキ・モデル ・レイヤーケーキ・モデル=中央政府と下位政府で権能と実施施策を明確に分離(アメリカなど) →日本においても、年金(旧社会保険庁、日本年金機構、年金事務所)と防衛(防衛省、自衛隊)だけはこのモデル(下位政府が関与しない) ・マーブルケーキ・モデル=両者が協働して施策を実施(日本など) →日本の地方政府は活動量も、活動範囲も広い 2.歳出 〇目的別歳出決算額 ・「どのような施策や政策に予算を支出しているのか」 ・都道府県は教育費の支出が多く、市町村では民生費(児童福祉、高齢者福祉など)の支出が大きい ・重複が全くないわけではないが、目的別に見ると所掌事務の違いが反映されている ○性質別歳出決算額 ・「特定の政策遂行のためにどのように予算を支出しているか」 ・都道府県は人件費、補助費等(公営企業に対する負担金、各種団体への補助金など)、公債費、普通建設事業費(道路、橋梁、学校、庁舎などの建設などの費用)が大きい ・市町村は扶助費(生活保護費、児童手当など)、人件費、普通建設事業費が大きい 3.歳入 〇地方歳入の手段と全体的な特徴 ・歳入を増やす3つの手段 →自主財源の確保、中央政府からの移転財源の増加、借入金や地方債の発行 ・歳入の割合 →地方税収がもっとも大きく、次に地方交付税が大きい(いずれも使途の特定がない財源=一般財源) →国庫支出金などの補助金=特定財源(義務教育費負担金、生活保護負担金など) ○地方税 ・地方税収は4割前後 →先進国のなかで日本の地方税収が低いわけではな

第8回「CAHPTER7:地方自治体の権能と大都市制度」

  ■事前準備 テキストの該当ページを読んでおいてください 宿題(P.115のエクササイズ1)の確認 ■レジュメ 1.地方自治体の種類 〇二層制 ・基礎自治体:市町村、東京都特別区(23区) ・広域自治体:都道府県 →法的には上下関係ではなく対等 ・かつては「郡」が存在し、三層制だった →府県制、郡制、市町村制 →1921年に郡は廃止されたが、住所や郵便の分類などの地理区分として残っている 〇市町村および東京都の23特別区 ・市区町村 →直接公選の首長と議会が設置 →教育、福祉などの行政サービスを提供 ・市の要件 →地方自治法に規定されている ・町の要件 →各都道府県の条例で規定されている →ex.北海道(129町) ・村の要件 →市町以外の地方自治体 →村のない県が13存在する(広島、滋賀、香川) ・東京都特別区(東京23区、東京都区部) →1943年に廃止された東京市の市域に相当する部分に設置されている(東京35区) →1947年3月に35区を22区に再編。同年8月に板橋区から分離して練馬区が成立し、現在の23区へ →制度的な性格は現在もあいまい(あくまで東京都の内部機関という位置づけ) →地方分権一括法(2000)により、「基礎的な地方公共団体」と位置づけられた →税財政の違い(固定資産税、都市計画税の徴収。都区財政調整制度の存在) 〇都道府県 ・かつては「中央政府の出先機関」 →官選の知事が、各府県で中央政府による政策全体を統括していた ・北海道と府と県の機能的な差はない ・東京都は上下水道、消防を直接提供。県警本部のかわりに、警視庁を設置 〇一部事務組合と広域連合 ・一部事務組合 →地方自治体が事務の一部を共同して処理するために設置される法人格を持つ機関 →設置目的はごみ処理、し尿処理、消防、救急など ・広域連合 →広域にわたり処理することが適当であると認められた事務を処理するために設置される法人格を持つ機関 →設置目的は後期高齢者医療、介護区分認定審査、障害区分認定審査 ・関西広域連合の存在 →事務を垂直保管、水平的連携することによる自治体の生き残りが必要な時代 2.地方自治体の権能 〇権能からみた関係 ・都道府県と市町村の機能分担 →都道府県は警察行政や義務教育の人事などで重要な役割 ・権限の一部移譲 →政令指定都市、中核市、特例市 ・東京都特別区の立