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第5回「CHAPTER4:住民による統制」

 ■事前準備 テキストの該当ページを読んでおいてください 宿題(P.58のエクササイズ1)の確認 ■レジュメ 1.首長選挙 ○首長選挙の制度 ・小選挙区制度、任期は4年 →自治体全域が選挙区となるため、当該自治体の利益全体を考慮した行動を取りやすい ・多選の制限はなし ・被選挙権は知事満30歳以上、市区町村長満25歳以上 ・居住地要件なし ○首長選挙の特徴 ・知事選挙においては政党が重要 ・一番多いのは相乗り知事 ・次に多いのが、自民党と野党第一党以外の政党の支援を受けて当選する知事 ・「政党推薦・支持なし」の知事や、「自民党以外の政党から支援を受けて当選した知事」も一定数存在 ・弱いつながり →公認ではなく「推薦・支持」といった形で政党から支援を受ける ・市長は「政党推薦・支持なし」が多数 →「相乗り市長」は減少傾向 ○無党派首長の増加理由 ・都市化の影響 ・相乗り候補に対する反発 ・政党からの支援を受けるメリットが少なくなった ・首長権限の強化(地方分権改革の影響) →中央政府とのパイプがなくても財政運営が行えるようになった ○相乗り首長の存在理由 ・首長の制度的権力の強さ(CHAPTER1を参照) ・自治体間で行われる補助金獲得競争に勝つため ・地方議会における選挙制度 →地方議会は中選挙区制度/大選挙区制度 →所属政党の影響力が相対的に小さい ・地方レベルにおける政党間の勢力差 2.地方議会選挙 ○地方議員の選出に関するルール ・自治体のさまざまな地域から複数選ばれる →都道府県議会選挙は小選挙区・中選挙区制度の併用 →多くの市区町村は中選挙区・大選挙区制度の併用(少ない票数で当選することも) ○地方議会選挙の特徴 ・選挙区定数が多い選挙制度(中・大選挙区制度)が部分的に採用されている ・無所属議員が多い →都道府県議会では政党所属が多いが、町村では9割以上は無所属 ・議員の当選のために個別利益が重要になる →首長と議員とは選好が潜在的に対立している ・同一政党候補者同士での争いが必然的に多くなる →中・大選挙区制度だと政党が複数の候補を立てるため →結果的に、政党の地方レベルにおける一体性を弱める方向に作用している ・少ない得票差で当選可能なため、少数派に有利な側面 3.直接請求と住民投票 ○直接請求制度の種類 ・議会解散請求 →選挙管理委員会に対し、自治

第4回「CHAPTER3:地方公務員」

 ■事前準備 テキストの該当ページを読んできておいてください 前回の宿題(P.41エクササイズの1)の確認 ■レジュメ 1.多様な地方公務員 ○公務員の種類 ・公共部門の4/5が地方公務員 ・財政支出も地方>国 →職員数の削減には慎重に対応しなければならない ○地方公務員の種類 ・都道府県は教育職(公立学校の先生)と警察職が圧倒的に多い ・市町村には福祉関係の職員が多い 2.採用と昇進管理、給料表 ○採用 ・国家公務員 →総合職試験、一般職試験 →いずれも入口選抜方式(採用と昇進がリンクする) ・地方公務員 →地方上級、地方中級、地方初級(学歴ごとに受験を区分) →昇進と採用は必ずしもリンクしないが、現的には一般行政部門で地方上級の採用が多い ・採用試験の多様化(地方) →専門試験の比重を減らし、民間との併願をしやすくしている →その代わり、採用後に専門知識をフォローする必要がある ○昇進管理 ・地方公務員の行動の誘因として最も重要な動機づけ →基本的には責任回避型の形で昇進を目指す ・ジェネラリストとスペシャリスト →通説的にはジェネラリストとして幅広く勤務することで幹部に選抜されるという解釈 →「特定の専門領域を習熟する」ために異動しているという解釈もある →どちらでもないパターンもある(岡山県の人事データ) →まとめ:公務員に専門性がないわけではないが、最後の昇進の段階では専門性が重視されない ○給料表 ・昇進と密接に関連する ・給料表:級と号給(号俸)の組み合わせの表 →上から下への移動へ年功的 →左から右への移動は能力主義的(ジョブ型的?) 3.出向官僚 ○地方自治体で勤務する国家公務員 ・出向官僚:毎年1700名ほど ・地方→国への人事交流:毎年2000名以上 ○旧自治省からの出向官僚 ・旧自治省:自治行政局、自治財政局、自治税務局 →総務省発足後、旧自治省の官僚はこちらに勤務している ・おおむねキャリアにおいて3度の出向 →総務省内で昇進していく中で出向を重ねる ・地方の視点 →「閉鎖的な組織の硬直性の打破」のために重要 →また、中央省庁とのパイプ役を出向官僚に期待している →出向官僚は「よそ者」なので首長が改革を委ねやすい Column3「さまざまな公務員」 ・警察官(地方警察職員) ・消防吏員 ・医療従事者(医師、看護師、保健師、獣医師など) ・福

第3回「CHAPTER2:議会」

 ■事前準備 テキストの該当ページを読んできてください 前回の宿題の内容を冒頭で確認します ■レジュメ 1.地方議会・地方議員に関する制度 ○地方議会の権限 ・首長に比べると地方議会の権限は限定的(限定列挙) ・議決権 →議案・予算案について、原案可決、修正可決、否決が可能 ・再議請求権への抵抗 →首長の再議に対して特別多数決 ・予算案の大幅な修正はできない →首長の予算提案権を侵害するため →結果的に、首長にいかに要望を「飲ませるか」という戦略が重要 ・不信任決議権 →決議が成立すると、首長は自身が失職するか、議会を解散するかを選択する ・百条調査権 →首長が責任者として行う自治体の事務について問題がある場合に調査権を行使する ・議案提出権 ○地方議会の運営 ・本会議、委員会、全員協議会 →本会議:定例会、臨時会。通年会期制も可能 →委員会:議会運営委員会、常任委員会、特別委員会 ・会派 →政党単位で結成されるが、必ずしも国政と対応していない 2.地方議員の実像 ○日常活動 ・議会が閉じているときにも活動を行う必要がある(次の選挙で勝つため) ○地方議員の社会的背景 ・専業が大半 ・性別や業種(兼業の場合)に偏りがある ○地方議員の党派性 ・都道府県議会と市区町村議会で大きく異なる →都道府県議会にとっては政党が投票にとって重要だが、市区町村では個人が投票の基準になっている ○議員報酬・待遇 ・自治体の規模によって大きな差がある ・政務活動費 →政策立案に向けて行う調査・研究の費用として支給 →自治体の規模によって差が大きい →近年では不正が見られる分野( 2014年兵庫県議会、2016年富山県・富山市議会 ) ex.チューリップテレビ制作(2020)『 はりぼて 』 3.二元代表性の特徴 ○二元代表制 ・首長と議会、それぞれ別個に投票されて選出される →GHQによって戦後、首長公選が命令されたことによって始まった ・アメリカの大統領制との比較 →よく似ているが、アメリカ大統領に比べると首長の方が制度的な権限が多い →また、アメリカ大統領のように再選の制限がない →議会に対する権力にも差がある(再議請求権、解散権など) ・地方分権改革以降、首長の権限がさらに強くなっている →有権者の指示を背景に地域政党を立ち上げ、議会と対立する首長も登場している ○首長と議会の影