第6回「CHAPTER5:条例制定」
■事前準備
- テキストの該当ページを読んでおいてください
- 宿題(P.80のエクササイズ1)の確認
■レジュメ
1.条例とは
○条例についての概説
・条例=地方自治体が独自に制定できる法規
・横出し条例と上乗せ条例
→横出し:国の法律で規制されていない範囲についても規制を広げる(ex.環境規制)
→上乗せ:規制の基準を厳しくするための条例(ex.施設の設置基準規制)
・条例の波及効果(ex.景観条例)
→条例制定に必要な準備や作業が明らかになったことで、他の自治体に広がる(政策の相互参照)
→国レベルに広がり、法制化される場合も(ex.情報公開条例)
→自治体におけるパートナーシップ条例の広がりも、最終的には国レベルへの波及を目標としている(同性婚の法制化)と言える
2.条例制定の主体
〇主体は3者:首長、議会、住民
・実際の9割以上は首長提出
→とはいえ首長の意思が強いとは限らない
・議会も出せるが数は少ない
→議会は主として首長が提出した条例案への議決という形で影響力を行使する
→議会が首長に働きかけて条例化するパターンはある(ex.2001年「三重県リサイクル製品利用推進条例)
・住民についてはp.75を参照
3.条例制定の過程
〇8つの過程
・どのように政策課題が認識され、選択されるか
・条例案が策定される過程(調整や整合性、根回し)
・条例案の決定と審議、議決、可決後の条例交付
4.条例制定の実際
〇千代田区生活環境条例の制定過程(2002年)
・安全で快適な生活環境の維持を目的とする条例
→路上での喫煙の規制が主目的
→昼間人口の多さ(90万~100万人)に対するアプローチ
・2001年に条例の検討開始
→検討組織の設置、原案の作成、警察署や地検との協議
・2002年に千代田区長が条例制定の方針を発表
〇札幌市公契約条例の制定過程(2013年)
・首長主導の条例案だったが、否決された例
・業界団体からの反発により、修正案の提出
・賛成派、反対派の攻防
・自民、公明、市政改革・みんなの会が反対し、否決
〇宮城県における「みやぎ発展税」導入(2007年)
・慢性的な税収不足に対し、2005年に当選した村井知事が主導
・地元企業の反発と説得
・最終的に知事与党の自民、公明が賛成し、可決
5.条例案可決の規定要因
〇4つの要因
・首長の意志
・議会多数派の同意
→札幌市と宮崎県の対比
・地域住民や団体の理解
・議会などの反対に対するアプローチ
Column5「地方政治における対立:条例制定をめぐる”私たち”と”あの人たち”」
・国政レベルよりも対立、先鋭化しやすい場合がある
→対立したままではなく、妥協点を探ることが必要
・2015年の「大阪都構想」をめぐる住民投票
・政党や地方議員が対立を引き受けて議論をリードする必要
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