第11回「CHAPTER10:学校教育」

 

■事前準備

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■レジュメ

1.学校教育の担い手は誰か

〇学校教育の政府間関係
・市町村、都道府県、文科省それぞれが権限を持つ(融合型)
=政府間で権限が分散されている
→特に都道府県は教職員給与を負担し、人事権限を持っている

・義務教育
→学校建設・運営は市町村だが給与負担と人事管理は都道府県
→教職員は身分上は市町村職員だが、都道府県職員としての意識が強い
→政令市は給与負担も担う(2017年度~)

・高校/特別支援学校
→原則として都道府県だが、市町村立の学校もある

〇融合的政府間財政関係
・学校における財政移転制度
ex.教職員の給与、学校建設費
→文科省予算の3割は義務教育国庫負担金

・地方教育費
→総額約16兆8000億のうち60%は学校教育費。さらにその5割が義務教育
→他の使途として公民館、図書館の整備など(社会教育費)

2.児童生徒数・学級数・学校数

〇学校教育に対する少子化の影響
・「児童生徒」という顧客が大幅に減少しているのが現在
→学級数の減少、教員数の減少、学校の統廃合etc.
・義務標準法
→公立小中学校の教員数の定員を定める法律
→この法律があるため、大幅な教員削減は難しい
→結果的に教員以外の職員削減や統廃合が進められる

〇学級数
・1学年あたり40人(小学校は35人)が基本
→自治体によっては独自に教員を雇用して少人数学級を編制(上乗せ/横出し)
→現実には少人数学級編制を行わなくてよいほど児童生徒数が減少している

・学級数の減少傾向
→児童生徒数の減少幅より、学級数の減少幅が小さい。中学校では微増
→背景に特別支援ニーズの高まりによる特別支援学級数の大幅な伸びがあるのでは
→多様な対象を考慮した義務教育へと変容している

〇学校数
・小中学校数の減少傾向
→公立小学校は約2万、中学校は1万以下に
→減少の要因は統廃合(毎年200~400が統廃合)
→通学時間の増加と、それへの対応が必要

・市町村と小中学校の関係
→市町村の域内に小学校が1校だけ、中学校が1校だけ、というケースが増加
→「学校選択制」が政策の目玉になるのは都市部に限られる
→将来的には複数の市町村が学校を共同で運営することも検討されるべき
→「一部事務組合立学校」はすでに複数存在している


3.教職員数
〇少子化時代の教員数
・地方公務員の4割が教育部門(102万人)
→都道府県でも市町村でも削減傾向(市町村のほうが他部門に対する削減率が大きい)
→教員数自体は大きく減少していない(前述)

・広域的な人事
→都道府県が人事権を持つため、離島やへき地などにも配置できる(医療ではこれが難しい)
→毎年3割近くの人事案件が処理されている(採用、転出入、離職など)

〇職業としての教員
・大量採用/大量退職という傾向
→1980年代の第二次ベビーブーム世代の採用者が退職しているため
→都市部では大量採用のピークは過ぎ、地方部へ波及している

・給与
→昇給カーブは行政職より緩やかで、給料表の級が少ない

・メンタルヘルス
→精神疾患の病気休職者数は毎年5000人程度で推移
→メンタルヘルス不調による休職率は公務員の中では低い水準だが、全産業平均よりは高い
→長時間労働や「ブラック部活」など、教員の働き方には関心が集まっている


4.縮小領域としての教育の新しい動向
〇縮小社会における政策デザイン
・地方分権改革と教育政策
→地方政府の独自の教育政策の展開
→上乗せ/横出しサービスの全面的な許容(少人数学級編制など)
→国からの財政移転が手厚いため、地方政府は財源調達をあまり考慮しなくてよい

・学校選択制
→2000年代から注目
→現在は大きな動きがなく、見直し(廃止など)も行われている

・教育における財政効率
→統廃合、教職員数の削減など
→「教育サービスの向上」と「財政の健全化」というトレードオフ

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