第13回「CHAPTER12:高齢者福祉」

 

■事前準備

  • テキストの該当ページを読んでおいてください
  • P.214の宿題(エクササイズ2)の確認
  • スペースの録音はこちらから

■レジュメ

1.高齢化が変える日本の姿

〇高齢化社会の状況
・2015年時点で3392万人が高齢者(高齢化率は26.7%)
→75歳以上は1641万人
参考:生産年齢人口は7708人、年少人口は1611万人
・高齢化率最大は秋田県(32.6%)、最小は沖縄県(19.0%)
・「高齢者のいる世帯の割合」は2014年に46.7%
・日常生活に支障のある高齢者の割合は25%
・2000年度から「介護保険制度」がスタート
→要介護(1-5)・要支援(1-2)の程度に応じて施設・居宅サービスを受けられる
・主な介護者は同居者
→配偶者、子が多い。「老々介護」も多い
・65歳以上の被保険者数(第1号被保険者)は2015年に3308万人
→要介護(要支援)認定者数は608万人
→介護サービス受益者は512万人
・介護保険に関する総費用は2016年度に10.4兆円
→2025年度に18-21兆円まで増加する見込み


2.重い市町村の責任をサポートするには

〇介護保険制度
・2000年度からスタート
→保険方式を採用し、広く費用負担を求めている
・介護保険の地方分権化
→設置基準が都道府県条例で、居宅サービス事業者の指定と監督権限は政令市と中核市
・保険者は市町村
→広域連合や一部事務組合の余地もある
・費用負担の仕組み
→40歳以上の人が保険料を支払う
→利用者は1割を負担する
→残りの9割を保険料と税金で負担する(税負担は国と地方が半分ずつ。地方は都道府県と市町村が1/2ずつ)
・介護保険料は上昇傾向
→市町村格差が目立ってきた(2,800円の鹿児島県三島村、8686円の奈良県天川村)
→4,501円~6,000円の市町村が約8割
・財政安定化基金
→介護保険特別会計の赤字を補填
→結果的に、市町村が保険料収入の確保を行うインセンティブに欠ける制度設計

○介護サービスと地方自治体の役割
・サービスは5種類+1
→訪問、通所、短期滞在、居住、入所(ひとつの施設内で複数のサービスを提供する場合もある)+地域密着型サービス(2005年に創設)
→サービスの種類によって事業主体の指定・監督を行う主体が異なる
→たとえば市町村は地域密着型サービスの指定・監督を行う。「介護認定審査会」も市町村に設置される
・予防給付
→介護予防のためのサービス給付
→介護、福祉、保険、医療等様々な面から高齢者を支援する施設
→保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが配置されている
→業務内容は4種類(総合相談支援業務、権利擁護業務、介護予防ケアマネジメント、包括的・継続的ケアマネジメント支援業務)
→日常生活圏域(中学校区)を単位としてケアシステムを構築する


3.高齢者福祉施設
〇介護予防サービス事業所
・4つの類型
→介護予防訪問介護事業所、介護予防通所介護事業所、訪問介護事業所、通所介護事業所
・介護予防訪問介護(ホームヘルプ)事業所
→要支援1,2の人が対象
→ヘルパーが居宅を訪問し、入浴、排せつ、食事などの介助や調理、洗濯、掃除などの家事を実施
・介護予防通所介護(デイサービス)事業所
→要支援1,2の人が対象
→日中に施設に通所し、食事、入浴、排せつなどの支援や日常生活動作訓練(リハビリ等)、レクリエーションを日帰りで実施
・訪問介護事業所
→要介護1以上が対象
→内容は前述の介護予防訪問介護と同じ
・通所介護事業所
→要介護1以上が対象
→内容は前述の介護予防通所介護と同じ

〇介護保険施設
・4つの類型
→介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護予防支援事業所
・介護老人福祉施設(=特別養護老人ホーム)
→現在は要介護3以上が対象
→介護、機能訓練、健康管理、相談、レクリエーションを提供
・介護老人保健施設
→要介護1以上が対象
→入所者に対してリハビリなどの医療サービスを提供。看護、介護も提供
・介護療養型医療施設
→要介護1以上
→慢性疾患のため長期療養が必要な人に対して介護職員が手厚く配置された医療機関
・介護予防支援事業所(地域包括支援センター)
→前述したので省略
→設置主体は市町村であるが、委託も可能(社会福祉法人が大半)

○経営主体/自治体の役割
・地方自治体の直営は少ない
→営利法人(株式会社など)、社会福祉法人、医療法人によって提供されることが多い
・市町村は域内の「介護システムの構築」という責務を負っている
→都道府県はこうした市町村の支援が期待されている
・「地域包括ケアシステム」の構築
→介護、医療、住まい、生活支援、介護予防をそれぞれ担う介護事業所、医療機関、老人クラブ、自治会、ボランティア、NPOをネットワーク化することが市町村に期待されている
→完全放置とも、直営とも異なる行政の機能が市町村には求められる
→都道府県には、市町村を業務面で補完しつつ、財政面でも補完する機能がある(財政安定化基金など)


4.介護人材
○大量に必要とされる介護人材
・施設の介護職員は122万人、訪問介護員(ヘルパー)は46万人(2014年の厚労省の資料より)
→施設の介護職員は正規職員6割、訪問は正規職員2割
・性別は施設の介護職員の7割強、訪問の9割弱が女性
→男性で施設の介護職員は40歳未満が7割弱だが、女性は40歳以上が過半数(男性は若い職員が多いが、女性は少ない)
→訪問の女性40歳以上が8割
・離職率の高さ
→16%-21.3%ほど
→常勤職員は全産業平均を上回っている
・介護福祉士
→2012年に登録者数109万人(バーニングは2018年に取得、登録)
→介護福祉士として従事しているのは6割ほど(バーニングも残りの4割)
→介護職員初任者研修、訪問介護員養成研修(旧ヘルパー1,2級)の修了者は380万人
・処遇の問題
→平均月収(ボーナスのぞく額面収入)がホームヘルパー21.8万円、福祉施設介護員21.9万円
→違法な待遇(割増賃金不払い)も問題

○介護福祉士になるには
・介護福祉士は名称独占の国家資格
・3つのルート
→実務経験ルート(バーニングはこれ。技能実習生もこのパターンが多い)、養成施設ルート、福祉系高校ルート
→実務経験ルート:実務経験3年+実務者研修(450時間)+国家試験合格
→養成施設ルート(専門学校、短大など):2年以上(1850時間)+国家試験合格(受験しなくてもよい時代もあった)
→福祉系高校ルート:3年以上(1855時間)+国家試験合格
・合格後、介護福祉士として登録


5.市町村による介護サービスの持続可能性
〇施設の設置主体から見る
・介護施設は民設民営
→地方政府は法人が設置した施設を監督する立場
→学校教育や保育に比べると、設置主体となる割合はかなり少ない(ありえるとしたら適当な事業者のいない過疎地域)
・か
→ノウハウの差(情報の非対称性の存在)

〇地方政府の役割と、多様化するニーズへの応答性
・「実施の委託先をモニタリングする能力」をいかに向上させるか
→ノウハウの差(情報の非対称性)の存在
・ニーズの多様化への対応
→学校教育(公教育)は多様化していない上に、財政移転も手厚い(疑問:特別支援教育の重要性は高まっているのでそうした新しいニーズへの対応が必要では??)
→介護は学校教育ほど財政支援が手厚くはない(自律性)
→住民への応答性を高める余裕はないが、多様化したニーズに応える必要がある
→ニーズへの応答性を高めると「ソフトな予算制約」問題に突き当たる可能性があり、サービスの持続可能性が揺らぐ




コメント

このブログの人気の投稿

Index

Book Review Shelf

Works